半田病院は災害拠点病院に指定されています。災害拠点病院として機能するためには半田病院はより災害に強い場所に建てられるべき、と私たちは考えています。では、「災害拠点病院」とは一体何なのでしょうか?
 「災害拠点病院」ができた経緯は阪神・淡路大震災にさかのぼります。阪神・淡路大震災のときには、防ぎ得た災害死500 例ぐらいあった可能性があると報告されています。その原因として挙げられているのが、超急性期に現場で医療を展開する医療チ ームがなかったということ。2つ目と しては、災害医療を中心的に担う病院がなかったということ。3つ目が重症患者さんの広域搬送が全く行われなかったということ。4つ目として、医療情報を病院間あるいは中央(国レベル、 県レベル)と共有できなかったということがいわれています。このうちの2つめ、災害医療を中心的に担う病院をつくろうということでうまれたのが災害拠点病院です。ちなみに1つ目の医療チームがDMATと呼ばれるもの、これは半田病院に3チームあります。3つめの広域搬送、4つめの情報共有においても半田病院が積極的にかかわることになっています。つまり半田病院は、災害時には半田市近隣地域住民の命を守る砦なのです。
 災害拠点病院の役割は以下の通りです。24時間いつでも災害に対する緊急対応ができること、これは必須条件です。しかし、半田病院は津波による浸水が0.3〜1M想定される地域と川に囲まれた位置に建てられる予定であり、さらに液状化の危険性が非常に高く、周辺からの搬送が不能になる可能性が十分にある場所に建てられようとしているのです。(ハザードマップ参照)この想定は愛知県によるものですが、東南海トラフ地震の震度予測や津波高予測はより大きなものになると見直されつつあります。想定外の災害が立て続けに起こる中、私たちはより安全な土地を選ばなければなりません。ハザードマップで一番危険な場所にあえて建てなおすというのは常識的に考えられない行動と言わざるをえません。
 防ぎ得た災害死、これを1例でもなくすため、私たちは活動を始めました。建て替えた新病院は、子の代、孫の代まで、災害時の砦です。私たちはいま、重要な決断に直面しているのです。

災害拠点病院の役割(国立病院機構 災害医療センターホームページより)
① 24時間いつでも災害に対する緊急対応でき、被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制を持つ。② 実際に重症傷病者の受け入れ・搬送をヘリコプターなどを使用して行うことができる。
③ 消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある。
④ ヘリコプターに同乗する医師を派遣できることに加え、これらをサポートする、十分な 医療設備や医療体制、情報収集システムと、ヘリポート、緊急車両、自己完結型で医療チームを派遣できる資器材を備えている。